放課後のチャイムが鳴ると、教室は一気にざわめき始めた。


ひよりは鞄にノートや筆箱をしまいながら、今日もまた成瀬くんを意識してしまっている自分に気づいた。


窓の外は夕暮れの淡いオレンジ色に染まり、校舎の影が長く伸びている。


友達に軽く手を振って別れ、校門へ向かうと、ちょうど成瀬くんが同じ方向に歩き出すところだった。




彼はイヤホンを片耳だけに差し、どこか遠くを見つめるような冷たい視線で歩いている。


ひよりは息を呑み、距離を少し取って後ろを歩いた。