昼休みのチャイムが鳴り、教室は一気に賑やかになった。

ひよりは友達とお弁当を食べながらも、どうしても視線が隣の成瀬に向いてしまう。

彼はいつも通り、静かに本を開いていた。

「話しかけてみたら?」と親友の声が背中から聞こえたけれど、ひよりの喉は緊張で詰まったように感じた。


言葉が出ないまま、ただ笑ってうなずくしかできなかった。


教室の窓から差し込む午後の光が、二人の間に柔らかな影を落とす。


ひよりは、自分の胸がじんわりと熱くなるのを感じていた。それは、これまで知らなかった感情の始まりだった。