執事に溺愛されまして




話し終えてもなかなか話し始めないことを不思議に思って、佐伯さんの顔を見ると、見たことないくらい鬼の形相をしている。



「....許せないですね。
私の大事なお嬢様にそんなこと.....」



聞いたことないようなドスの効いた声を聞いて、私まで怖いと思ってしまった。



「で、でも、特に何かされたわけじゃないですし、もう関わってこないと思いますから。」



と、宥(なだ)めても、佐伯さんはずっと不機嫌なまま。




「お嬢様、失礼致します。」




「え、」



───ギュッ




な、なにが.....起こってる.....?




鼻を掠める心地のいいこの香りは、紛れもなく佐伯さんのもので。



全身から感じる温かさが、佐伯さんの体温だということに気づくのにはかなり時間がかかった。



私は。


佐伯さんに、正面から抱きしめられていた。




「申し訳ございません。」



「佐伯さん....こ、これは、どういう状況で....」



「美羽様の専属執事でありながら、お守りすることができずに.....」



そ、そんなこと気にしなくていいのに....!!