私はそれどころじゃないって言うのに!
「これは本気で守らないといけませんね。
お嬢様に変な虫が寄り付かないように。」
「へ、変な虫って.....」
さっきから何を言っているの?
「こんな可愛いお嬢様ですから。
汚いハエのような男が寄ってくるようでしたら、私が全力で追い払いますからね。」
ちょっと口も悪くなってるし....
佐伯さんって、少し分からない人だ...
悪い人では無さそうだけど。
いろいろな顔を持っている、というか。
まだ、佐伯さんの素顔について、全く知れてない気がする。
どの顔が本当の顔なのか。
「あ、そうでした!!
お嬢様が通う、高校の制服が届きました。」
ついさっきまでのことが、まるで無かったかのように佐伯さんは言う。
お風呂上がってから気づかなかったけど、部屋の片隅にハンガーにかかった制服が壁にかけてあった。
「こちらです。
サイズを図る際に試着されていると思いますが、入学式前に一度袖を通すように、と、お父様が。」
「ありがとうございます。」

