だんだん眠気がじわじわと押し寄せてきた。

 いっそのこと、このままずっと‥‥。

 “‥‥目を開けて‥‥”

 「‥‥‥‥」

 そんな私の事なんて知る由もない誰かが声をかけてきた‥‥気がする。

 雨音がそんなふうに聞こえたんだろうか。

 “‥‥起きて‥‥”

 「‥‥‥‥」

 そんな知らない人‥‥。

 と、思い込んだ私は、

 「!」

 これ以上はない速さで目を開いた。

 「‥‥‥‥まさか‥‥そんな‥‥」

 「‥‥‥‥」

 見上げると、そこに立っていた人は‥‥彼だった。

 記憶の中にある彼と同じ優しい笑顔で私を見つめてる。

 え? 何でここにいるの? いつから? 本当に?

 ダメ‥‥頭の中がぐちゃぐちゃになって処理がおいつかない。

 「こんな所で寝てると風邪ひくよ」