ぜんぶ、ちょうだい。




「ちゃんと好きって、いつも言ってるよね? なんで信じてくれないの? 髪も触らないでよっ」



むくっと体を起こして、清水の手を振り払う。



「信じたくないっつーか…なんというか…」

「はぁ〜?」



……ほんと、よく分かんないよ、清水。

私には、清水が難しすぎるみたい。

窓の外に目をやると、空に飛行機雲が浮かんでた。

あ〜…… 先輩、あの飛行機乗ってるのかな、なんて。

笑ってるのかな。寝てるのかな。それとも、誰かと話してるのかな。

……水元先輩とかと。

考えたくないのに、 勝手に浮かんでくる。



「吉川は、泉先輩に好きな人がいると嫌?」

「嫌だよ。当たり前じゃん」



即答だった。だって、本当にそうだから。



「女子といると嫉妬すんの? あの、水元先輩とか」

「当たり前じゃんっ…… その名前、今禁句だからねっ?」



こっちの気も知らないで〜っ!
ただでさえ、 “元カノ”っていう立場なのに。

一緒に修学旅行なんて……気になるに決まってるでしょ……。



「私だって、先輩と修学旅行行きたかった……」



ぽつりと、本音がこぼれた。

修学旅行だけじゃない。

文化祭も、体育祭も、クリスマスも、卒業式も――
これからの学校行事やイベント、 ぜんぶ、ぜんぶ……

泉先輩と過ごしたかった。