ぜんぶ、ちょうだい。




なんか、いつもと様子が違う気がしたけど―― 気のせい? まぁ、いいか。



「私、先輩に振られたいってずっと思ってたけどさ… それって、ほんとに好きなの?って水元先輩に言われて…」

「水元先輩って誰?」

「……あー…えっと、泉先輩の元カノ。朝、話してたでしょ?その人と、さっきばったり会って。何故か、私のこと知ってたみたい」



水元先輩の言葉は、 私の“好き”をぐらぐら揺らした。

でも、清水は――



「好きの形なんて人それぞれだし、 その人と俺の考えが同じってだけで、 お前がそれに感化されることもないっつーか…」



清水は優しい。
なんだかんだ、真剣に考えてくれる。

それに、いつもできるだけ、私が傷つかないように言ってくれる。

先輩以外に恋愛経験のない私は、何が正解なのか分からなくて、すぐに周りに流される。
でも、泉先輩を好きって気持ちは、どうしても勘違いじゃないと思うんだ。



「関係ないけど、一つ言ってもいい?」

「うん?」



急に空気が変わった気がした。

え?何言われるんだろう? やっぱり月とスッポンだなって? それとも、もっと辛辣なこと?



「月とスッポンとか、ほんとは思ってねーから。 俺は…お前が好きだし」



……え?

清水が、顔を赤くしてそう言った。

えーと……。



「ありがとう…? 私も、清水のこと好きだよっ」



――友達として!

言った瞬間、清水の顔がさらに真っ赤になった。