ぜんぶ、ちょうだい。


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昼休み。
お手洗いの帰り道、私は一人でトボトボと歩いていた。

あぁ…今日一日、なんだか憂鬱。

朝は、泉先輩に「おはよ」って言ってもらった。
それだけで、心がふわっと浮かんだのに。

でも―― 先輩の元カノの存在を知ってから、気分が上がらない。

“好きだった人がいた”という事実。
“その人は美人でモデルで、先輩と同じクラス”という現実。

はぁ…。

俯いて、大きなため息。


その瞬間――

顔を上げた私の目に、職員室から出てきた子が映った。


あれって…もしかして。


長い黒髪。凛とした顔立ち。制服の着こなしも、どこか洗練されていて。


職員室から出てきたのは―― 泉先輩の元カノだった。