ぜんぶ、ちょうだい。




「そっちの方が見やすいじゃん?」

「やめろよ、恥ずかしい」



……なんで清水が恥ずかしいの? 私が手を振るだけなのに。

でも、これ以上機嫌を悪くさせたら面倒くさいからね。
窓は開けないでおくよ。


先輩、気付いてくれますように――

そう思って、先輩に向かって手を振ろうとした瞬間。

先輩の元へ、駆け寄る女子が一人。

高めのポニーテール。
背が高めの、美人な雰囲気。



「あー、なんか仲良さげ?」



私の隣に立つ清水を、ギロッと睨む。


……でも、ほんとに仲良さげ?

あんまり、先輩が女子と話しているところを見る機会がない。
だから、胸がチクッと痛い。

先輩、普通に喋ってるし…。
女の子は、なんだか嬉しそうに笑ってる。

あ…これは、私の知らない先輩だ。
優しくて、自然体で、誰かと笑い合ってる先輩。



「先輩…こっち見てよ」



ボソッと呟いたその瞬間――


バチッと、目が合った…気がした。


私のこと…見てる?

え…?ほんとに?


そして、先輩は――


ヒラッと、手をあげた。


う、そ…。



心臓が、ドクンと跳ねる。