ぜんぶ、ちょうだい。




目が合うと、逸らしてしまう。
今も、顔を見ることができなくて、 俯きながら歩いている。

視界には、並んだ足。
当たり前だけど、私よりずっと大きい靴。
それだけで、キュンとする。


ふと、上から声が降ってきた。



「吉川って、俺のこと怖いとか思わないわけ?」



反射的に顔をあげる。

泉先輩は、前を向いたまま。
表情は見えないけど、声はいつもより少しだけ柔らかかった。



「えっと…怖い?」

「どれだけ冷たくしても、毎日俺のとこ来るだろ」



……先輩、冷たいこと自覚してたんですね?

ちょっとびっくりした。
てっきり、無意識なのかと思ってた。



「あ、でも今日の朝は来なかったか」

「…あ…」



泉先輩の言葉に、心がピクリと反応する。