ぜんぶ、ちょうだい。




あ~……私、今日で死んじゃうのかな? そう思うくらい、幸せなんだけど。

ほんとになにかあるんじゃ?

傘に入ろうか迷っていたその瞬間、グイっと手首を引っ張られた。



「遅い」

「…っ!」



強引に引っ張られて入った傘の中。

泉先輩と、相合傘。

雨の音が、ふたりの距離を包み込む。
傘の中は、思ったより狭くて、泉先輩の肩がすぐそこにある。

歩幅を合わせて歩く。
というか―― 先輩が、私に合わせてくれてる?


その優しさに、ジーンとする。

あぁ……好きだな。やっぱり好き。

昨日の言葉も、今日の冷たさも、全部ひっくるめて泉先輩が好き。

でも、先輩を前にすると、いつもうまく話せない。

言いたいことはたくさんあるのに、喉の奥で全部つっかえてしまう。