ぜんぶ、ちょうだい。




「先輩もそんなことするんですかっ?だって、そうじゃないと、こんなことっ…!」



声が少しだけ上ずった。
泉先輩が傘を差し出してくれたことが、信じられなくて、嬉しくて、怖くて。



「吉川には、俺がそんなことするやつに見えてんだ?」

「いえ、全く!」



即答だった。
だって、先輩はそんなことするような人じゃない。
先輩の友達も、たぶんそんなことしない。

……思うだけですけどね。私、先輩のこと何も知らないので。



「……なんで急に優しくするんですか?」



ぽつりと、こぼれた本音。

諦めようかなって思ったときに、いつも優しくされる。

昨日もそうだった。今日もそうだった。

酷いですよ…。

優しくされると、また好きになってしまう。

もうやめようって思ったのに、また期待してしまう。