ぜんぶ、ちょうだい。




赤くなった目で、今度は逃げずに、俺の顔をまっすぐ見てくる。



「だから、もう、やめます」



その言葉だけで、空気が一気に冷える。



「大好きでした」



――過去形。



「私のこと、振ってください」



あれだけ、毎日みたいに俺の前に現れて。散々、好きだって言って。

そのくせ、俺じゃない人間とキスして。

で、最後は、これ?

無理して作ったみたいな笑顔。
今にも崩れそうなのに、必死に保ってる吉川の顔。

それを見て、俺は、ふーっと息を吐いた。



「……めんどくさいし、どーでもいい」

「っ……そうですよね。先輩にとっての私って、所詮、その程度ですよねっ……」



吉川の声は、最後、かすれて。

頬を伝う涙が、止まらなくなる。



「じゃあ、もっとちゃんと振ってくださいよっ……!」



怒ったみたいに、泣きながら吐き捨てられたその言葉が、胸に、ずしっと落ちた。



「……好き、じゃない」



喉が、きしむ。



「面倒くさい」
「迷惑」



一つずつ、わざと突き放すみたいに並べる。