ぜんぶ、ちょうだい。




……その通りだ。

修学旅行中、あの元気な声が聞こえなくて、寂しかったのは事実だ。
それは、吉川本人にも言った。

いつも、当たり前みたいにいた人が、急にいなくなったら。
寂しくもなるし、イライラもする。
それくらい、普通のことだ。


だからって、会いたいとか。

そういうわけじゃなくて。



「あー……こういうのが、だるい」



思わず、口から出た。



「かおってさ、考えすぎなんだって。別に好きとか言ってるわけじゃねーじゃん。ただ、気になるなら会いに行けば? って言ってんの」



分かってる。

分かってるけど、それが一番、簡単で、一番、難しかった。


付き合ったとしても。好きだとしても。それでも、別れることはある。
それを、俺は誰よりも身に染みて知ってる。

吉川が、もし俺のことを好きじゃなくなったなら。それでいい。いや、そもそもそのほうがよかったはず。

毎日待ち伏せされるのが嫌で、さっさと諦めてほしいって思ってたはずだった。



「かおさ、もう認めろよ。吉川さんのこと、気になってるって」



軽い声で言われて、胸の奥がひくりと揺れる。