ぜんぶ、ちょうだい。




嫌い。大嫌い。
そう言い聞かせてるのに、胸の奥では、まだ“友達に戻りたい”って思ってる。


――だから、余計に苦しい。


廊下を歩きながら、ため息をひとつ。



「もう、なにも考えずに先輩に会いに行く?……いや、でもなぁ……」



ぶつぶつと独り言をこぼしていた、そのとき。



「……っ」



階段から、泉先輩が降りてきた。

なんつータイミングっ! あぁ、会わす顔がないよ……。

ここは、気付いてないふりをしよう。

そう決めて、視線を逸らし、すれ違おうとした――その瞬間。


ガシッ。


腕を捕まれた。



「えっ……」



え、えっと……。

突然のことで頭がパニック。反動で振り向くと、あの綺麗な顔がすぐそこにあった。