ぜんぶ、ちょうだい。




「さ、寂しかったに決まってるじゃ……」



そう言いかけて、言葉が喉の奥で止まった。


頭の中に、邪魔してくるやつが現れたから。

清水の顔。

もう、消えてくれないかなっ? 今は泉先輩の前なのに。

なのに、清水の顔が離れてくれない。


そして次の瞬間、 先輩の顔が見れなくなった。


そうだ…… 私、清水とキスしたんだった。

先輩じゃない誰かと。好きな人じゃない誰かと。



「吉川?」



名前を呼ばれて、ハッと我に返る。


まって。いやだ。こんな状態で、先輩の前にいたくない。


顔が熱い。心臓が痛い。罪悪感が、喉元までせり上がってくる。


先輩の目が、私を見てる。まっすぐに、静かに。

でも、私はその目を見返せない。