ぜんぶ、ちょうだい。




「こまちゃん、私はね?先輩とのこと応援してるけどね、清水の応援もしてるよ。 だから、清水のことも考えてあげてよ、こまちゃん」

「う、う~ん……絶交宣言したしな……」



それに、先輩との朝の時間を邪魔されたし。
あのときの清水の手の強さも、「行ってほしくない」って言った声も、全部、まだ胸に残ってる。



「こまちゃんは、ほんとにそれでいいの?」

「えっ?」

「清水とこのまま友達やめていいの?」



……そ、れは。

ほんとは、嫌だよ。前みたいに、笑って話したいよ。



「清水の気持ちを知った以上、もう無理だよ……」



清水の気持ちに応えることはできない。一緒にいたら、また無意識のうちに傷つけてしまうと思う。



「清水も、なんだかんだそう思ってるんじゃないかな。 全員が幸せになる道なんてないんだからさ。 しっかり清水のことも考えたうえで、先輩のことを選ぶんだったら…… そのときは、清水に土下座してでも『友達に戻りたいです』って頼もうよ」



ひまちゃんが、ニッと笑って言った。



「そ、そんなこと許されるかな? 清水、怒らない?」

「怒らないよ。 そんな器の小さい男じゃないよっ」



……ほんと、ひまちゃんは頼りになる。かっこいいなぁ。まっすぐで、優しくて、強くて。

それに比べて私は、ぐるぐる悩んで、泣いて、怒って、逃げてばかり。


でも――



「よしっ……。ちょっと頑張ってみる」

「その勢いだー!」



ひまちゃんの言う通りだよね。
うやむやのままでいたくない。
誰かの気持ちを曖昧にしたまま、自分だけ前に進むなんて、そんなのずるい。