ぜんぶ、ちょうだい。




「……行ってほしくないって……無理だよ」



早くしないと、先輩が来ちゃう。

それに、こんなところ―― 清水に手を掴まれてるところなんて、 先輩に見られたくない。



「ねぇ、清水。いい加減にしてっ……」



もう、絶交! 絶対絶交してやるっ!



「あ、泉先輩」

「はっ……」



その声に、心臓が跳ねた。

でも、清水はなかなか手を離してくれない。

仕方なく、昇降口の柱の陰に隠れる。



「行かねーの?」

「清水が離してくれないからでしょーがっ……!」



もう、やだ。なんでまだ掴んでるのっ?

先輩が、昇降口を通り過ぎる。
私に気づかずに、いつもの歩幅で。


先輩。私、ここにいますよ。

ずっと、会いたかったんです。

一週間ぶりに、やっと会えると思ったのに。