ぜんぶ、ちょうだい。




「そんな顔すんなよ。お前の友達なんて、死んでもごめんだね」

「……っ」



チラリと見た清水の顔は、私よりもずっと苦しそうだった。



「それより、もう先輩来るんじゃねーの?」

「あっ……」



そうだ。 私、先輩に会いに来たんだった。

泉先輩に会えば、全部忘れられる。
清水のことも、昨日のことも、この胸の痛みも。

そう信じて、ここまで来たのに。

清水の横を通り過ぎようとした瞬間、 手を捕まれた。



「えっ……離して?」

「無理」



やだっ……!

思い切って振り払おうとするも、 清水の手は強くて離れない。



「ちょっと、清水!」



キッと睨むと、清水は少し申し訳なさそうな顔をして、ぽつりと呟いた。



「行ってほしくない」



その声が、 あまりにも弱くて、 あまりにも本気で―― 胸が、また痛くなった。

……どうして。どうして、そんな顔するの。