ぜんぶ、ちょうだい。




「はぁっ…はぁっ…」



昇降口まで走ってきたせいで、息が上がる。
時計を見る。先輩は、まだ来てないはず。


なのに――



「はぁっ……し、みず」



ドクン!
心臓が嫌な音を立てる。

来たのは、先輩じゃなくて清水だった。



「なんで、息切らしてんの?」



関係ないでしょっ……。

口きかないって決めたんだから。早く、あっち行ってよ。



「……俺のこと無視することにしたんだ? そんなの続かないのにな?」

「なっ……誰のせいでっ……」



……って。

あ。



「ほら。もう無視できてないじゃん」



クスクス笑う清水を、キッと睨みつける。

……なんで、来るの。 今は、先輩に会いたいのにっ!
清水の顔なんて、見たくないのにっ!