さくらびと。美桜 番外編(2)

病室に戻ると美桜は既に意識を失っていた。






裕紀の頬に残る涙の跡だけが、二人だけの秘密の約束を物語っている。





窓から見える夜桜は月明かりに照らされ幻想的に輝いていた。







「美桜…」






眠る美桜の額にキスをして裕紀は囁いた。






「君がいう、いつか僕の人生に……誓うよ」








桜の花びらが一枚、開け放たれた窓から病室に入り、美桜の髪にそっと舞い降りた。








その瞬間だけ時間は止まり、彼女の微笑みが蘇ったような錯覚を裕紀は覚えた。









外では春の風が新たな季節の到来を告げるように吹き抜けている。






終末の桜は静かに散り続けた。