さくらびと。美桜 番外編(2)

「これからはちゃんと話をしよう」








家に戻った二人は向き合って座った。照明を落としたリビングで影が伸びる中、裕紀は言葉を選んで伝えた。




「俺たちは同じ方向を向いていると思っていたけど……違う道を歩んでたんだね」





美桜は小さく頷いた。





「私はね……寂しいよ」






「うん」






「裕紀はどんどん先に行っちゃうみたいで……時々ね、置いて行かれるんじゃないかって怖いの」







「置いていくわけないだろ」






彼女の目を見つめる。潤んだ瞳の中に映る自分が情けなく見えた。








「俺も迷子になってたんだ。自分のことで精一杯で、一番大切なものが見えなくなっていた」






「大事なもの……?」







「美桜だよ」








その一言で堰を切ったように二人の会話が始まった。






互いの不安を打ち明け、すれ違った心を修正していく時間。







夜が更けても途切れることなく続く対話の中で、二人は再び同じ道を歩み始めた。