夜11時、霧峰学園の錆びついた校門を前に、4人の高校生は懐中電灯の光を頼りに立っていた。

ユウトが先頭で、ボロボロの鉄柵を押し開ける。

キィッと耳障りな音が闇に響き、ミサキが肩をすくめる。

「ほんとに行くの…?」

彼女の声は小さく、風にかき消されそうだった。

「ビビってんの?」

アカリがニヤリと笑い、肩に下げたリュックから塩の小袋を取り出す。

「これで悪霊も怖くないよ。オカルトの基本でしょ?」

彼女の目は、廃墟の奥に潜む何かを見つける期待で爛々と輝いている。

ケンタはカメラを構え、ナイトモードで撮影しながら呟く。

「マジで雰囲気やばいな。サムネ映え確定だろ」

ユウトはグループをまとめ上げるように声を張る。

「いいか、視聴者が求めてるのは本物の恐怖だ。俺たちがあの『教室13番』の謎を暴けば、チャンネル登録10万いくぞ!」

彼の言葉に、ミサキ以外の3人は拳を軽く合わせ、気合いを入れる。

だが、ミサキだけは一歩後ろで立ち尽くし、校舎の黒いシルエットを見つめる。

彼女の胸に、冷たい予感が広がっていた。