図書室の崩れる音が耳をつんざく中、ミサキは涙と血に濡れた顔で廊下を駆けていた。

ユウトの悲鳴が背後でこだまし、彼女の心を締め付ける。

「ユウト…ごめん…!」

彼女の足元では、床の亀裂から黒い霧が這い出し、彼女の足首を掴もうとする。

ミサキは転びそうになりながらも、胸に響く怨霊の声を頼りに進む。

「解放…シテ…オネガイ…」

彼女の手のひらの傷からはまだ血が滴り、青白い光が微かに脈打つ。

ミサキは気づいていた。

自分の霊感が、怨霊たちと繋がる鍵であることを。

そして、儀式を終わらせるには、彼女自身が何かを犠牲にしなければならないことを。