ユウトは腕を押さえながらアカリを突き飛ばし、ミサキを連れて図書室の奥へ逃げる。

だが部屋の出口は黒い霧で塞がれ、怨霊たちが壁から這い出してくる。

腐敗した手足、裂けた口、骨が剥き出しの顔――その一つ一つが、20年前の生徒たちの苦痛を物語っていた。

ミサキは恐怖で動けないが、彼女の胸に響く声が強くなる。

「私…何かできるかもしれない…」

ユウトが叫ぶ。

「ミサキ、逃げるんだ! 俺がアカリを止める!」

彼はアカリに立ち向かい、ナイフを奪おうとするが、彼女の動きは異常に速い。

アカリのナイフがユウトの肩を深く切り裂き、血が床のシンボルに吸い込まれる。

すると、図書室全体が揺れ、シンボルが赤く光り始める。

「足りない…まだ足りない!」

アカリが叫び、ミサキに目を向ける。

ミサキは震えながら立ち上がり、怨霊たちの声に耳を傾ける。

「あなたたちを…解放する…」

彼女は自分の手のひらを噛み切り、血を床のシンボルに滴らせる。

その瞬間、青白い光が彼女の体から溢れ、図書室を照らす。

怨霊たちが一斉に叫び、光に飲み込まれるように消えていく。

だが、アカリは狂ったように笑い、「まだだ! 完全な解放には、魂ごと捧げなきゃ!」とミサキに飛びかかる。

ユウトが最後の力を振り絞り、アカリを床に押し倒す。

「ミサキ、走れ!」

彼の叫び声が響く中、ミサキは涙を流しながら図書室の出口へ走る。

だが背後でユウトの悲鳴が聞こえ、振り返ると、彼の腕がアカリのナイフで切り落とされ、血が噴き出す。

床のシンボルはさらに強く光り、図書室全体が崩れ始める。