地下への階段を降り切ると、湿った空気と腐臭が3人を迎える。

図書室の扉は鉄製で、表面には錆と共になぜか新鮮な血のような赤い筋が走っている。

ユウトが扉を押し開けると、ギイッと重い音が響き、埃とカビの匂いが鼻をつく。

部屋の中は、倒れた本棚と散乱した本で埋め尽くされ、壁には不気味なシンボルが無数に刻まれていた。

中央には、古びた木製の机があり、その上には一冊の分厚い革装本が置かれている。

アカリが真っ先に本に飛びつき、ページをめくる。

「これだ…儀式の全貌がここにある!」

彼女の声には、抑えきれない興奮が滲む。

本には、霧峰学園が古くから「穢れ」を封じるための生贄の場として使われていたことが記されていた。

20年前、教師たちは13人の生徒を選び、教室13番で儀式を行ったが、失敗。

生徒たちは怨霊となり、校舎に閉じ込められた。

そして、封印を解くには「新たな血」が必要だと書かれている。

ミサキが震える声で言う。

「これ…ケンタの血じゃ足りなかったってこと? まだ私たちが…?」

彼女の言葉を遮るように、部屋の隅からカサリと音が響く。

懐中電灯を向けると、本棚の影からゆっくりと這い出てくるものがいた。

人間の形をしているが、頭部は異様に膨れ上がり、目玉が飛び出したような姿。

口からは黒い液体が滴り、床に触れるたびにジュウと煙を上げる。

「うわっ!」

ユウトがミサキを庇い、机を投げつけるが、影はそれをすり抜けて3人に迫る。

アカリは動じず、本を読み続ける。

「血を捧げれば、怨霊は解放される…でも、完全な儀式には『純粋な魂』が必要だ」

彼女がミサキをチラリと見る。

「ミサキ、あんたの霊感…それが鍵かもね。」