霧が町を覆う夜、霧峰学園の廃墟はひっそりと佇んでいた。

20年前、この古い高校は一夜にして闇に飲まれた。

教室13番で起きた「事件」は、13人の生徒を消し去り、血と呪いのシンボルだけを残した。

地元の者は誰も近づかず、囁く。

「あの校舎には、まだ何かいる」と。

ユウトはスマホの画面を見つめ、薄暗い部屋で笑みを浮かべる。

「これ、絶対バズるよ」

彼のYouTubeチャンネル「ミッドナイト探偵団」の次の企画は、霧峰学園の探索だ。

画面には、コメント欄がすでに盛り上がっている。

「ガチで呪われてるって!」
「やめとけ、死ぬぞ」

アカリが机に広げたオカルト本をめくり、「儀式の痕跡があるって本当かな」と目を輝かせる。

ケンタはカメラを点検し、「映ればなんでもいいよ」と気楽に笑う。

だが、ミサキだけが窓の外を見つめ、震える声で呟く。

「私、なんか嫌な予感する…」

彼らは知らなかった。

校舎の奥、教室13番の床に刻まれたシンボルが、静かに脈動を始めていることを。

闇が彼らを待っていることを。