クールな総長は私だけにとびきり甘い

「たぶん、空いてる。どうして?」

蓮は受け取った紙を一瞬見て、数秒後にまた返してきた。

「ことはとどっか行きたい。……ダメか?」


最後の「ダメか?」という文字に、ことはは思わず顔が熱くなる。


──蓮くんが、私を……誘ってる?

授業の途中だというのに、もう何を書いているのか分からなくなりそうだった。

けれど、勇気を出して、返事を書く。

「……行きたい。どこに行くの?」

数分後に戻ってきたメモには、たった一言だけ。

「当日まで、秘密」

その瞬間、ことはは思わず笑みをこぼしそうになって慌てて口元を押さえた。

その隣で、蓮は窓の外を見ながら、こっそり小さく口角を上げていた。