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○教室・昼休み

チャイムが鳴る。

ざわつくクラス。

紗月は弁当を机に出すが、少し迷って蓋を開けられずにいる。

クラスメイトA「○○さん、一緒に食べよ?」

クラスメイトB「昨日断られたから今日は強制ね!」

紗月「え……あ、ありがとう」

机をくっつけ、輪に加わるヒロイン。

クラスメイトたちが自然に話を振る。

クラスメイトC「へぇ、自分で作ったの?すごいね」

紗月「う、うん……料理は好きだから」

クラスメイトB「いいな〜。今度交換しよ!」

笑い声。

紗月も少し笑顔になる。

紗月(心の声)「……やっと。少しずつだけど……居場所ができそう」


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○教室・同時

ガラッ、と勢いよくドアが開く。

三年生の蓮司が立っている。

静まり返る教室。

クラスメイトたち「……え」「なんで三年がここに」

先輩は真っ直ぐに紗月を見据える。

蓮司「——おい。行くぞ」

紗月「っ……!」

クラスメイトA「えっ……知り合い?」

クラスメイトB「……やば……」

先輩は机の横に立ち、ヒロインの腕を軽く掴む。

蓮司「昼は裏庭って決まりだろ。忘れたのか」

紗月(心の声)「みんなの前で……!勝手に……!」


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○廊下〜裏庭

引きずられるように連れ出される紗月。

廊下の生徒たちがざわめく。

生徒の声「……あの子、捕まったな」「怖すぎ……」

裏庭。

草の匂いと春風。

紗月は先輩の腕を振りほどき、距離をとる。

紗月「やめてください!……私のことを勝手に決めないで!」

蓮司「……」

紗月「私は……私の居場所を、自分で決めます!」

先輩は一歩前に出かけて止まる。

口元は笑っているのに、瞳は影を落としている。

蓮司「……強ぇな。お前」

紗月は息を詰め、踵を返して走り去る。

先輩は追わず、背中を見送る。

蓮司「……チッ」

ポケットのスマホが震える。

『親父』からの通知。

「聞いてるのか。戻ってこい。」「話がある」

先輩は舌打ちして消す。


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○夕方・紗月の部屋

制服を脱ぎ、私服に着替える紗月。

小さな財布をポケットに入れ、買い物袋を持って玄関を出る。

紗月(心の声)「……今日くらい、好きなもの食べてもいいよね」


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○夜道・商店街

コンビニ袋を下げて歩く紗月。

街灯が少なく、影が濃い。

不良A(別の高校の制服)「お? カワイイじゃん」

不良B「どこ中?いや、高校か」

不良C「見ねー顔だな。——1人?」

紗月「……っ」

紗月は後ずさりし、袋を落とす。

不良A「ちょっと付き合えよ」

腕を伸ばされる。

紗月「や、やめて——!」


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○夜道・瞬間

バシッ!

不良Aの腕を弾く力。

蓮司「……どこの学校だか知らねぇけど」

紗月「せ、先輩……!」

先輩は紗月を背中にかばい、不良たちを睨む。

蓮司「俺の女に触んな」

空気が一瞬で凍りつく。

不良B「は? なんだコイツ」

不良C「……やべ……噂の……」

不良Aは舌打ちして引き下がる。

不良A「チッ……冗談だよ。行くぞ」

彼らは去っていく。


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○夜道・二人きり

落ちた袋を先輩が拾い、紗月に差し出す。

蓮司「遅ぇんだよ。だから言ったろ、一人で歩くなって」

紗月「……でも……」

先輩は真っ直ぐに顔を覗き込む。

蓮司「泣くな。お前は、俺が守る」

紗月は胸を押さえ、震える。

紗月(心の声)「怖い……でも……どうしてこんなに安心するの」