クール女子との同居生活。

 つまらない授業が終わり、昼休みになった。

 目立たないように、コッソリと教室から出て裏庭に向かう。

 今日の朝渡し忘れた、二つのお弁当を入れたバッグに入れて。

 裏庭のベンチで一人座っている美亜を見つけ、誰もいないことを確認してから美亜に話しかける。

「こんにちは、美亜」

「こんにちは、海斗君」

 学校で美亜と会うのは変な感じがするな。

 まるで、別人みたいに雰囲気が違うというか、目の前にいるのが本当に俺の知る「桜田美亜」なのか高根の花の「花坂美亜」なのか分からなくなる。

 そんな美亜を見ると、俺はなんだか緊張してしまう。

「美亜、お弁当持って来たけど食べる?」

 俺がそういうと、美亜は心底驚いたような表情をして俺の目を見つめる。

「朝ご飯も作っていただいたのに、お弁当まで…本当にいいのですか?」

「俺の分のついでだし、買ったものだとバランスが悪いから。」

 まあ、本当は美亜の喜ぶ姿が見たかっただけなんだがな。

 俺は半ば強引に弁当を渡した。

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

 わくわくしたような嬉しそうな顔に、笑みを浮かべる。

 美亜の顔は、弁当のふたを開けると、なんだか、少し顔が曇った気がした。

「すまない、アレルギーとかあったか?」

 俺が弁当に入れたのは、野菜のサンドイッチとピーマンと人参の炒め物、プチトマト、卵焼き、それにたこさんウィンナー。

 デザートには、イチゴを入れた。

「い、いえ。そうではなくて…」

「遠慮なくいってくれ。これから、一緒に食事をとるときの参考にするから。」

 これに関しては、遠慮なくいってもらった方がいい。

 お互いがおいしく食べるのに必要だし、美亜の喜ぶ顔が見たい。

「笑わないでくださいね…!」

「ああ、笑わないよ。」

 どんなことがあっても、美亜をあざ笑うようなことはしない。すべて認めるつもりだ。

 美亜が、そうしてくれたように。

「ぴ、ピーマンが…」

 恥ずかしそうに口を動かす美亜を、俺は真剣に見つめる。

「に、苦手なんです!」

「…は?」