双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

 私は愚かだ。
 ケントリンは言わなきゃ何もやらない男だと分かっていた。

 淡々と愛しい妹の不遇を報告する彼に腹がたった。
 彼には十分なお金を渡していたけれど、使わなかったと言って私にほとんどのお金を返却してきた。

 気の利く人間なら、不遇な王女カリンに自己判断で衣服をプレゼントしたと報告するだろう。

 人を育てるのは難しい。
 ケントリンは出会った頃から、全く成長しない。

 私は自分に割り当てられた予算を全額孤児院に寄付することにした。
 宝飾品にも興味はなく、唯一好きだったお菓子も味覚を失った私には必要ない。
 私は全く物欲がなかった。
 私にある欲は愛しいカリンを抱きしめることと、シャリレーン王国を再建することだった。
 王女である妹が、ナレイラのように体を売ることが絶対ないようにできる事をしたいと思った。