双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

ルイモン卿の首から流れる血が、彼女の剣を伝っていく。

「勝負あったな、ルイモン卿」
 彼女は勝利宣言をすると持っていた剣を、近くにいた騎士に渡した。

 そして、彼女の右手がルイモン卿の首元に添えられると、そこから目が眩む程の強い光が発せられた。手が離れた時にはルイモン卿の傷口が塞がっているのが見えた。

「神聖力だ。聖女様の神聖力だ」
 周囲には気がつけば、多くの招待客が集まっている。
 
 パレーシア帝国は聖女信仰があつい。
 でも、実際、聖女が神聖力を使うのを見たことがある人間はほとんどいない。
 私自身も実際に見たことはなかったが、実際に目にすると神の領域の奇跡に見えた。
 
 私はアリアドネの替え玉だと思っていた彼女が神聖力が使えることに驚いていた。
(ただの替え玉じゃない。まさか、双子の聖女が誕生していたって事?)