双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

時を戻す前は彼女と5日間、2人で過ごしたと聞いた。
 きっと私は、こんな風に自分を姉と慕ってくる彼女に複雑な思いを抱いただろう。

 私が彼女を求め出したのは、両親を亡くしてからだった。

 それまでは、自分に根付いたシャリレーン教の教えの元に彼女の犠牲は仕方がないものだと思っていた。

 彼女が生きていると知った時も、捨てられた側の妹で、私の模造品として作られた可哀想な存在だと同情心を持った。

 でも、実際再会した彼女は誰からも愛される幸せそうな子だった。
 自分の神聖力が消滅しそうな時に、奇跡のような力を使う彼女に私は嫉妬しただろう。

 無垢な笑顔で私を姉と慕う彼女を愛おしく思うと同時に、憎らしく思ったに違いない。

 きっと、世界中の悪意を彼女の身代わりに自分が受けたと被害者妄想に取りつかれた。

 皮肉なことに、回帰後に彼女に対する妬みが一瞬で消えたのは彼女が私を突き放したからだ。
 彼女がいつも幸せそうにしている事と、私に起こった不幸な出来事は何の関係もないことに気がつけた。

 戴冠式を終え、私は女王就任の演説の場にカリンを連れて行った。
 彼女は優しい色をしたピンクのドレスを着ていて、服に興味のない私から見てもとても似合っていた。

 王宮のバルコニーから見下ろすと、大勢の国民が期待するように私を見るのが分かった。