双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

 カリンから聞いた話は想像を遥かに超えていた。

 彼女は私とルイス皇太子を生贄にして、時を戻したらしい。
 しかも、同意も取らず無理矢理だ。
(慈悲深い聖女とは程遠い行動⋯⋯この子が神様でしょ⋯⋯)

 「カリン⋯⋯おそらく過去の私は自分とあなたを切り離せず、あなたを貶めるような行動をとったかもしれない。それでも、私も含め繰り返す事のないかけがえのない時を生きている⋯⋯お願いだから2度と時を戻すなんてことはしないで欲しい⋯⋯」

 「分かりました。アリアお姉様」

 カリンは一点の曇りもない瞳で私のいうことを素直に聞いてくる。

 彼女の声は優しくて澄んでいて聞いているだけで心が癒される。

 きっと過去の私も心が闇に引き摺り込まれそうになる度に、盗聴した彼女の声を聞いてなんとか自分を保とうとしたのだろう。