ケントリンと結婚すると伝えたら、多くの反発があった。
彼の父親であるモンスラダ侯爵は自慢の次男坊を私に薦めてきた。
私はあらゆる縁談を突っぱねたように、それを突っぱねだ。
私が信頼して隣に置けるのはケントリンだけだ。
それは私にとって何よりも大切なことだ。
彼の足りない部分など全て自分が持っていて、心から信頼できる人間は彼しかいない。私には彼しか選択肢がない。
「今日は、戴冠式と共に、結婚式もするのよ。カリン⋯⋯私は国民にあなたについて明かすつもりよ。一緒に来てくれる?」
私の言葉にゆっくりとカリンが頷いた。
今日国民の前で私は彼女をカリン・シャリレーンとして紹介する。
聖女の出生地を偽造してきた帝国の皇太子が、彼女を創世の聖女として紹介しろというのだから断る理由はない。
「セルシオ国王陛下⋯⋯カリンは世界を変える力を持っています。国と彼女を守るため強かに立ち回ってください。帝国はいつでもカルパシーノ王国を滅ぼせるように、広大な隠し通路もつくってますよ」
私はセルシオ国王に私の知っている情報をできるだけ提供しようと思った。
彼は私の父と似ている。
国民のことを誰より思っているが、人の善性を信じすぎて、全て失ってから後悔するタイプだ。
(奪われるのは一瞬だって、私は誰より知っているわ⋯⋯)
これから、世界中かカリンに注目するというのに、彼のような甘い人間がカリンを守れるかが心配だ。
彼は奴隷から国王にまでなった人間で、獲得してきた人生を送ってきたのだろう。
彼が人が集まるだけの人望や、国を育てる器用さと賢さを持っているのは確かだ。
それゆえ、彼は自分の力だけで何とかできると驕りを持ってしまっている気がする。
「そうだ! ルイスがカルパシーノ王国に密偵を忍び込ませてるとも言ってましたよ」
カリンが思い出したように言う言葉は超重要項目だ。
似たもの同士の甘すぎる2人に思わず私は笑いそうになった。
それにしても、ルイス皇太子はわざとカリンに機密事項を漏らしている。
密偵はおそらくベリオット皇帝が仕込んだ人間で、ルイス皇太子はカリンを危険に晒すものを排除しようとしていると信じて良いかもしれない。
「アリアドネ女王⋯⋯君に俺ができることは何かあるか?」
彼は私に一時期同情し結婚したのに、即離婚したことに罪悪感を持っているのだろう。私にとってはどうでも良いことなのに、そんなことをいつまでも気にしている彼がおかしい。
(その罪悪感利用させてもらうわ⋯⋯)
「
彼の父親であるモンスラダ侯爵は自慢の次男坊を私に薦めてきた。
私はあらゆる縁談を突っぱねたように、それを突っぱねだ。
私が信頼して隣に置けるのはケントリンだけだ。
それは私にとって何よりも大切なことだ。
彼の足りない部分など全て自分が持っていて、心から信頼できる人間は彼しかいない。私には彼しか選択肢がない。
「今日は、戴冠式と共に、結婚式もするのよ。カリン⋯⋯私は国民にあなたについて明かすつもりよ。一緒に来てくれる?」
私の言葉にゆっくりとカリンが頷いた。
今日国民の前で私は彼女をカリン・シャリレーンとして紹介する。
聖女の出生地を偽造してきた帝国の皇太子が、彼女を創世の聖女として紹介しろというのだから断る理由はない。
「セルシオ国王陛下⋯⋯カリンは世界を変える力を持っています。国と彼女を守るため強かに立ち回ってください。帝国はいつでもカルパシーノ王国を滅ぼせるように、広大な隠し通路もつくってますよ」
私はセルシオ国王に私の知っている情報をできるだけ提供しようと思った。
彼は私の父と似ている。
国民のことを誰より思っているが、人の善性を信じすぎて、全て失ってから後悔するタイプだ。
(奪われるのは一瞬だって、私は誰より知っているわ⋯⋯)
これから、世界中かカリンに注目するというのに、彼のような甘い人間がカリンを守れるかが心配だ。
彼は奴隷から国王にまでなった人間で、獲得してきた人生を送ってきたのだろう。
彼が人が集まるだけの人望や、国を育てる器用さと賢さを持っているのは確かだ。
それゆえ、彼は自分の力だけで何とかできると驕りを持ってしまっている気がする。
「そうだ! ルイスがカルパシーノ王国に密偵を忍び込ませてるとも言ってましたよ」
カリンが思い出したように言う言葉は超重要項目だ。
似たもの同士の甘すぎる2人に思わず私は笑いそうになった。
それにしても、ルイス皇太子はわざとカリンに機密事項を漏らしている。
密偵はおそらくベリオット皇帝が仕込んだ人間で、ルイス皇太子はカリンを危険に晒すものを排除しようとしていると信じて良いかもしれない。
「アリアドネ女王⋯⋯君に俺ができることは何かあるか?」
彼は私に一時期同情し結婚したのに、即離婚したことに罪悪感を持っているのだろう。私にとってはどうでも良いことなのに、そんなことをいつまでも気にしている彼がおかしい。
(その罪悪感利用させてもらうわ⋯⋯)
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