双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

私はお土産のクッキーを1箱出すと、思わず美味しそうで手が伸びて1つ食べていた。
(美味しすぎる⋯⋯止まらなくなりそうだわ)

 ルイスは本当に私を理解している。

 彼は30箱お土産に渡してくれたが、これが最後の1箱だ。
 私はとても誘惑に弱い女だった。
 姉にも帝国のお菓子を食べさせたいのに、1日1箱は気がつけば食べ終わってしまっていた。

「お土産だったんでしょ。どうして自分で食べるのよ」

 姉が笑っている。
 私は彼女の笑顔を見るのが初めてで思わず見入ってしまった。
(本当に綺麗な笑顔⋯⋯ずっと見たかった⋯⋯)

「甘い⋯⋯本当に美味しいわ」
 姉は目に涙を浮かべながら、クッキーを頬張っていた。

 孤児院に寄付をし続けたことのお礼を言いたいのに、泣きながらクッキーを食べる姉の前にして言葉が出ない。
 
 それに、姉がどんな気持ちで両親の名前をもじって孤児院に寄付していたのかも私には分からない。

 姉が自分の名前ではなく、彼らの名前を使ったことにはきっと意味があるはずだ。

 でも、その意味を聞いてしまうと姉がますます泣いてしまいそうで聞けなかった。

 今日は姉の戴冠式でもあるが、結婚式でもある。

 きっと、女の子が一番綺麗で幸せな日だから、姉に辛いことを思い出してほしくはないと思った。