カリンには聖女についての資料は隠すと、ルイス皇子は言っていた。
彼自身も、金銭と引き換えに力を使うようにカリンには言いづらいのだろう。
(騎士が立っているのなんて当たり前なのに⋯⋯)
騎士たちが恐縮しながら、皆嬉しそうに頬を染めている。
カリンがいると周りが温かく優しい空気になる。
突然、カリンが屈んでアリに手をかざしはじめた。
(手から光が出てる! 神聖力?)
「カリン! 何をしているのですか?」
「家族に食べ物を届けに行くアリさんの疲れをとっているのです」
確かにアリは何か食べ物を運んでいるようだった。
王女として育てられ身分意識が強いアリアドネに比べて、カリンは孤児として過ごしてきた。
アリアドネの偉そうな感じは鼻につくが、カリンの親しみやすさは心配になる。パレーシア帝国は身分意識が非常に強い。
カリンは帝国では女性の最高地位につくのに、アリにも対等に接してしまう子だ。
彼女は天才と言えるほどの記憶力を持っていて優秀だ。しかし、彼女に周囲に高圧的に身分相応の振る舞いをさせるのは難しいように思えた。
富にも権力にも、地位にも名誉にも興味を持たないのがカリンだった。
彼女は私の世界を変えてくれた人で、私は彼女に側にいて欲しくて必死だった。
彼自身も、金銭と引き換えに力を使うようにカリンには言いづらいのだろう。
(騎士が立っているのなんて当たり前なのに⋯⋯)
騎士たちが恐縮しながら、皆嬉しそうに頬を染めている。
カリンがいると周りが温かく優しい空気になる。
突然、カリンが屈んでアリに手をかざしはじめた。
(手から光が出てる! 神聖力?)
「カリン! 何をしているのですか?」
「家族に食べ物を届けに行くアリさんの疲れをとっているのです」
確かにアリは何か食べ物を運んでいるようだった。
王女として育てられ身分意識が強いアリアドネに比べて、カリンは孤児として過ごしてきた。
アリアドネの偉そうな感じは鼻につくが、カリンの親しみやすさは心配になる。パレーシア帝国は身分意識が非常に強い。
カリンは帝国では女性の最高地位につくのに、アリにも対等に接してしまう子だ。
彼女は天才と言えるほどの記憶力を持っていて優秀だ。しかし、彼女に周囲に高圧的に身分相応の振る舞いをさせるのは難しいように思えた。
富にも権力にも、地位にも名誉にも興味を持たないのがカリンだった。
彼女は私の世界を変えてくれた人で、私は彼女に側にいて欲しくて必死だった。



