90秒で始まる恋〜彼と彼女の攻防戦


特に、女性達だが…

「こ、困ります」

「うん、困って…俺を意識してくれると嬉しいな」

周囲の女性達の瞬殺するような鋭い視線に、私の平穏な日常が崩れていく予感しかしない。

嫉妬やねたみ、想像しただけで身震いする。

「ほんと、困ります」

梶岡さんにはっきりと断りを入れた私は、絵梨花にごめんと謝って、その場から逃げるように食堂を出て行き、トイレに駆け込んだ。

そして、閉じこもるように鍵を閉め、便座に座り頭を悩ませる。

あれは冗談だと言ってくれないだろうか?

私の心のうちは、梶岡さんの発言は迷惑でしかないとはっきりと答えが出ていた。

梶岡さんのようなチャラい男性とは、近寄りたくなく、偶然、会っても素っ気ない態度をとっていたのに、それがなぜ急に、公衆の面前で、告白まがいなアプローチをされたのだろう?

男なんて信用できない私は、何か、裏があるのではと勘繰ってしまうが、冷静に分析してる場合じゃない。

今、私は危機的に落ちている。

食堂にいた女性達の中に、梶岡ファンは何人もいたはずで、絶対にありえないが仮に付き合うことになれば彼女らを怒らせるし、断っても何様と彼女らの反感を買うという理不尽な目にあう。