花の咲きほころぶ幻は甘い香りを届け、誘われた蝶がひらりひらりと舞い降りる。それはまるで、幼き日に見た優しい幻影のようだった。
優しく微笑んだヴィンセント様に、おぼろげに覚えていた銀髪の青年が重なった。
私はぽつりと「ヴィンス、様?」と呟いていた。
空になったティーカップへと注がれた紅茶が、ふわりと優しい香りを漂わせた。
花に囲まれた私は、それが紅茶の香りか花の香りか分からないくらいには、混乱しながらヴィンセント様を見つめていた。
「三年前、第三王子の婚礼のお披露目でも、会っているんだが」
「お姉様の……?」
こんなに背が高くて銀髪の美しい方が歩かれていたら、とても目立つわ。きっと、ご令嬢の皆さんだって、放っておかないでしょうし、そんな光景に出くわしたら覚えていると思うのだけど。
婚礼のお披露目の日は、どこのご令息も着飾られて華やかだったから、気付かなかったのかしら。それに、どこぞのご令息が声をかけてくると、継母が間に入って会話を遮ってくれたから、私は人とほとんど話していなかったし。
優しく微笑んだヴィンセント様に、おぼろげに覚えていた銀髪の青年が重なった。
私はぽつりと「ヴィンス、様?」と呟いていた。
空になったティーカップへと注がれた紅茶が、ふわりと優しい香りを漂わせた。
花に囲まれた私は、それが紅茶の香りか花の香りか分からないくらいには、混乱しながらヴィンセント様を見つめていた。
「三年前、第三王子の婚礼のお披露目でも、会っているんだが」
「お姉様の……?」
こんなに背が高くて銀髪の美しい方が歩かれていたら、とても目立つわ。きっと、ご令嬢の皆さんだって、放っておかないでしょうし、そんな光景に出くわしたら覚えていると思うのだけど。
婚礼のお披露目の日は、どこのご令息も着飾られて華やかだったから、気付かなかったのかしら。それに、どこぞのご令息が声をかけてくると、継母が間に入って会話を遮ってくれたから、私は人とほとんど話していなかったし。


