継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 口元を汚さないよう気をつけていたにも関わらず、私はお砂糖とクッキーの粉をつけてすまし顔をしていたということか。
 その滑稽な姿を想像していしまい、一気に恥ずかしさが込み上げてきた。

 小さなクッキー一つ、綺麗に食べられなかったなんて、淑女としてはあるまじき失態だわ。

「君は、相変わらず食べるのが下手なようだな、ヴェルヘルミーナ」

 まるで、私を知っているような口ぶりのヴィンセント様は、赤い口紅で汚れてしまったハンカチを、さも当然のように畳んでしまわれた。
 私はと言えば、何をどう返したらいいか分からず、混乱しながら言葉を探すしかなかった。

 相変わらずってどういうことかしら。
 私はヴィンセント様と、どこかで会っているというの?