継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 用意された庭園で開かれたお茶会は、しばらくローゼマリア様が話題を振って下さることで、穏やかなときが流れた。
 ヴィンセント様は寡黙な方なのかしら。問いかけにはきちんとお答えになるけど、私へ何か尋ねたり、話題を持ち出すようなことはなかった。

 私も、これは政略結婚だと割り切っているし、変に甘い言葉をかけられたら対応に困るから、むしろありがたいと言えばそうなのだけどね。

 結婚に応じる条件を伝えるタイミングを探っていると、ふと小さなクッキーが目についた。それには小さな(すみれ)の砂糖漬けが飾られてる。
 小ぶりだから一口で食べられそうだわ。

 クッキーの粉を散らすのも失礼だろうしと、一思いにそれを口に頬張ると、仄かに花の香りが広がった。クッキー生地はサクサクと軽やかで、甘い砂糖漬けが紅茶にもとても合う。何てお洒落なお菓子かしら。