継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 ヴィンセント様も着席したことで、彼から感じた威圧感のような居心地の悪さはなくなっていた。むしろ、その美しさが常に視界へと入ってきて、つい見とれそうになってしまう。

 綺麗な瞳が私に微笑み、ハッとして頬が熱くなった。

 不躾にじろじろ見ていたかしら。急激に羞恥心が込み上げてきたけど、ここで視線を逸らすのも失礼よね。

 ますます熱くなる頬を隠すこともできず、私はなんとか微笑み返す。すると、彼は少し驚いた顔をした。私はそれほど変な顔をしたのだろうか?

 どう会話をしていいのか分からずにいると、ローゼマリア様が穏やかに話しかけてくれた。

「今日は、ヴェルヘルミーナの為に、特別な茶葉を取り寄せましたのよ」
「ありがとうございます。私、お茶会の席に出たこともありませんし……紅茶は詳しくないので、精一杯、学ばせて頂きます」
「まぁ、そんな固く考えないで。まずは楽しむことが大切よ」

 優しさにほっと胸を撫で下ろす。
 ローゼマリア様は、本当に……亡きお母様を思い出させてくれる。気を緩めると、嬉しさで涙がでてきそうだわ。