継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「ロックハート家は、有能な魔術師を輩出してきただけでなく、交易によって財を成してきました」
「……存じ上げています」
「本邸のあるシェルオーブは、アデルハイム王国の交易の要」

 春と夏、秋に行われるシェルオーブの定期市には、国内外から商人だけでなく、両替商や高利貸し、商売や金融に関わる人がこぞって集まる。その活気は、王国随一とさえ云われている。

 我が家は、ペンロド公爵夫人の顔もあるため、年三回も出展できずにいるが、できれば三回とも市に出向きたいと商人たちに相談を受けているくらいだ。

 つい、ため息をつきそうになると、ローゼマリア様がふふっと笑みをこぼした。

「ペンロド公爵領の商業都市トリメインにも引けを取らないと思ってるのよ」

 その名を聞いた時、心臓が跳ねあがった。
 この方は、どこまで私とレドモンド家の内情を見抜いているのだろうか。

 立ち止まったのローゼマリア様は、一枚の絵に視線を向ける。そこに飾られていたのはアデルハイム王国を中心とした、周辺諸国の地図だ。