継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「アーリックのことを知っているのね。博識で頼もしいわ」
「恐縮です。……ローゼマリア様、アーリックは女性が外に出ることを認めないと聞いたことがあります」
「その通りよ。でも、クレアの両親は交易を生業としていて、一族の中では柔和な考えをされる方たちだったから、交易にクレアもついて来てたの。私たちはすぐに仲良くなったわ」

 ある日、軽い気持ちで子どもが出来ないことを相談したら、親身になってくれたそうだ。
 アーリックに伝わる子を授かるための体質改善方法や食品、薬に至るまで惜しげもなく教えてくれた。そうして、不妊と闘う日々が始まったのだと、ローゼマリア様は静かに話してくれた。

 肖像画を再び見上げるローゼマリア様は、懐かしむようにその瞳を細めた。

「クレアのお母様も私を励ましてくださったわ」
「ご家族とも良いお付き合いだったんですね」
「そうね。アーリックと長いこと交易をしていたこともありましたが……クレアのお母様も、なかなか子に恵まれなかった過去があったそうよ。だから、親身になってくれたのです」