「このリリアードの街をヴィンセントに任せたのは、十年前のことです」
「十年前……」
「その時に、私の持つ伯爵位を与えました。ヴィンセントは幼い頃から才気があり、物覚えもよい子でした。亡きクレアにそれはよく似て」
懐かしむように微笑むローゼマリア様は、赤子を抱く女性の肖像画へと視線を移す。彼女が、クレア夫人なのだろう。
「彼女はアーリック族の娘でした」
「アーリック!?」
予想外の言葉が出てきたことで、私は思わず驚きの声を上げた。
アーリック族は、神々が眠ると云われるドルミレ山脈を守る一族とも、神の末裔とも伝えられる山の民だ。
近隣の王国と不可侵条約を結んでいて交易もあるけど、一族のほとんどが山や森に住み、町に降りてくることはない。それに、純血を重んじているため、若いアーリックの女性は決して山を下りないと聞いたことがある。
「十年前……」
「その時に、私の持つ伯爵位を与えました。ヴィンセントは幼い頃から才気があり、物覚えもよい子でした。亡きクレアにそれはよく似て」
懐かしむように微笑むローゼマリア様は、赤子を抱く女性の肖像画へと視線を移す。彼女が、クレア夫人なのだろう。
「彼女はアーリック族の娘でした」
「アーリック!?」
予想外の言葉が出てきたことで、私は思わず驚きの声を上げた。
アーリック族は、神々が眠ると云われるドルミレ山脈を守る一族とも、神の末裔とも伝えられる山の民だ。
近隣の王国と不可侵条約を結んでいて交易もあるけど、一族のほとんどが山や森に住み、町に降りてくることはない。それに、純血を重んじているため、若いアーリックの女性は決して山を下りないと聞いたことがある。


