結婚どころか婚約の調印すらまだだし、ヴィンセント様とお会いしたこともないのに、この歓迎ぶりはどういうことか。どう反応するのが正解なのか分からず、私はぎこちない笑みを顔に浮かべた。
ロックハート家が私のことを歓迎しているという継母の話は、本当のことみたいね。私が無能と知ったら、この笑顔は凍り付くわよね……
一瞬不安がよぎった。思わず伏目がちに下を向いてしまったけど、ローゼマリア様は何事もなかったように、穏やかに私を呼んだ。
「ヴェルヘルミーナ、こちらへいらっしゃい」
差し出された手に指を添えると、ローゼマリア様は大きな肖像画が飾られる壁の前へと移動した。
いくつもの肖像画の中、ひときわ大きな額縁の前で立ち止まる。そこに描かれる貴婦人は、若き日のローゼマリア様だろう。一緒に描かれる少年三人の中で、一番背が高い銀髪の少年は、おそらくヴィンセント様。十二歳くらいかしら。
ロックハート家が私のことを歓迎しているという継母の話は、本当のことみたいね。私が無能と知ったら、この笑顔は凍り付くわよね……
一瞬不安がよぎった。思わず伏目がちに下を向いてしまったけど、ローゼマリア様は何事もなかったように、穏やかに私を呼んだ。
「ヴェルヘルミーナ、こちらへいらっしゃい」
差し出された手に指を添えると、ローゼマリア様は大きな肖像画が飾られる壁の前へと移動した。
いくつもの肖像画の中、ひときわ大きな額縁の前で立ち止まる。そこに描かれる貴婦人は、若き日のローゼマリア様だろう。一緒に描かれる少年三人の中で、一番背が高い銀髪の少年は、おそらくヴィンセント様。十二歳くらいかしら。


