継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 どういうことかしら。
 ローゼマリア様は、前ロックハート侯爵様の御長女で、フォスター公爵家から入婿を迎え、ご子息は三人いたはず。旦那様は第三魔術師団の長を経て、今は王城に住みながら公務に携わっていると聞いているけど、ご夫婦仲が悪いなんて話は聞いたことがない。むしろ、諸侯の間では愛妻家で有名だわ。

 私が困惑していると、ローゼマリア様はふふっと微笑まれた。

「もう三十年くらい昔のことになりますね。私と夫の間に、五年、子どもが出来なかったのです」

 もしかしたら、その時に旦那様が外で女性と浮気をされたのかしら。不躾にも、卑しい想像をしてしまった私は、思わずローゼマリア様の手を握りしめてしまった。

 私はどれだけ不安そうな顔をしていたのだろうか。

 驚いた顔をしたローゼマリア様は足を止めると、私の頭をかき抱くように、そっと胸元へと引き寄せた。