継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 これは一体どういうことか。

 ドレスなんて、私の寸法を知っていたとしか思えないほどぴったりだけど──ハッとしてダリアを見ると、誇らしそうに控えている。おそらく、やり取りをしていた時にサイズを事細かに報告していたのだろう。

「あぁ、本当に可愛いわ。うちの子は男ばかりだったから、娘が欲しかったのよ」

 薔薇の花を模した髪飾りを、自らの手で私に飾るローゼマリア様は本当に幸せそうに微笑んだ。

「ヴィンセントは小さい時から体が大きくて威圧感があって……あぁ、顔はクレアに似て綺麗ですよ」
「……クレア、様?」
「ヴィンセントの実母の名ですよ」

 突然の言葉に、私は唖然となった。
 今、ローゼマリア様は何て言ったのかしら。ヴィンセント様の実母?

 言葉を失っていると、まるで聖母のように微笑んだローゼマリア様は私の手を引き、場所を変えましょうと言って歩き出した。