継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

 ダリアは、本当におかしなことを言う。
 私の身長は152センチ。あと5センチ伸びてくれたらと、何度、夜空の星に願っただろうか。だけど、十五歳の頃からは1ミリすら伸びていない。

 踵の高い靴を履けば、なんとかそれなりに見える程度の背丈だろうけど、元から背の高いダリアの様な女性に、とても憧れるものよ。
 ほうっとため息をついてダリアを見ていると、そっと手が握りしめられた。

「自信をお持ちください」
「……ダリアくらい背が高くてすらりとしていたら、ドレスも似合って素敵だったでしょうね」
「ヴェルヘルミーナ様は、世界で一番、可愛らしいです。私は足元にも及びません」
「……可愛いじゃなくて、美しいって言われてみたいわ」

 爽やかに微笑むダリアを見て、毎朝鏡に映る自分の顔を思い浮かべた。
 大きな緑の瞳が、もう少し切れ長だったら良かったのかもしれない。ふわふわの赤毛だって、さらさらのハニーブロンドだったら上品だったと思うの。

 お母様似の髪や瞳に文句がある訳じゃないけど、どうも子どもっぽく見られるのよね。
 ロックハート侯爵様とヴィンセント様は、私の姿をどう見るだろうか。