継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします

「お祭りかしら?」
「この季節は、各地でお祭りが行われますからね」
「皆、とても素敵な笑顔だわ」
「リリアードは、ロックハート領の中心都市シェルオーブと、我らがレドモンド領を繋ぐ行路の中継地点です。宿場町としても栄えているのでしょう」
「他の領地へ繋がる行路も近いし、商人も集まる訳ね」

 地方都市にしては、道をゆく女性たちも随分とオシャレで着飾っている。貴族でなくても、オシャレを楽しむ余裕を持つことの出来る庶民が多いのだろう。

 ここを治める貴族の有能さをまざまざと見せつけられた思いだ。

「ここ一帯を治めるのが、ヴィンセント様だそうです」
「……そう。第五師団の長を務めながら、政務も熟すなんて並大抵のことではないわ。天は二物を与えず、なんて云われるけど」

 キラキラと輝くように笑う町娘たちを見て、ずんっと胸の奥が重くなった。